セールスドライバーとは

セールスドライバーとは、配送業務だけでなく営業活動も担うドライバーのことを指します。
単に荷物を運ぶだけではなく、新規顧客を開拓したり、既存のお客様に追加サービスを提案したりすることが求められます。大手運送会社や宅配企業、通販サイトの物流部門など、幅広い業界で活躍する職種です。
昨今のEC需要拡大に伴い、セールスドライバーを募集する企業は増加傾向です。
セールスドライバーの仕事内容

セールスドライバーの主な仕事内容は、商品の受け取りから配送、集金、顧客対応、営業提案など多岐にわたります。
1日のスケジュールを大まかに例示すると以下のような流れです。
- 出社・荷物の積み込み
仕分けされた荷物をトラックやバンに積み込み、配送ルートを確認します。地域ごとの地理的感覚が身につくため、慣れると効率よく配送できるようになります。 - 配送・集荷
個人宅や企業を回り、指定の荷物を届けると同時に、集荷の依頼があれば積み込みます。この際にお客様が抱える困り事や追加のニーズがないかをヒアリングすることがポイントです。 - 営業活動
企業向けの配送を行う場合、商品の発送量が多い取引先には契約プランや割引サービスを提案することも。新規顧客の獲得につながれば、インセンティブが付与されることがあります。 - 帰社・事務作業
その日の売上や配達伝票を整理し、翌日の配送ルートを計画します。効率的なルート設定を行うことで、長時間労働をある程度抑制できるのもセールスドライバーならではの工夫です。
セールスドライバーに必要な資格

セールスドライバーとして活躍するために必須となる資格は「普通自動車運転免許」です。ただし扱う車両の大きさによっては「準中型免許」や「中型免許」が必要になる場合もあるので、求人情報をしっかり確認しましょう。
普通免許(AT限定可)
小型トラックや1.5tクラスのバンであれば、多くの企業がAT限定免許でも応募可能としています。
準中型免許
2tトラックを運転する場合に求められるケースが多い免許です。
※2017年3月12日以降に免許を取得した方は、普通免許で運転できる車両範囲が一部変更されているため注意が必要です。
中型免許
4tクラスのトラックを運転する場合に必須となります。
その他にあると有利な資格・経験
フォークリフト免許は 倉庫内作業が多い企業だと、荷物の積み下ろしがスムーズになります。営業職や接客業の経験があるとアピールしやすいです。
セールスドライバーの年収と待遇

セールスドライバーの平均年収は概ね300万円~450万円程度と言われます。大手企業の場合は、固定給に加えてインセンティブや賞与が上乗せされることも多く、年収500万円超を実現している人も少なくありません。
給与形態の例
月給+歩合制
配送個数や営業成績に応じて歩合が付く仕組み。頑張り次第で給与を大きく伸ばせる反面、配送量が少ない時期は収入が不安定になるリスクも。
固定給+残業代
基本給が安定して支給され、長時間労働が発生した場合は残業代で補われる形です。昇給や賞与の有無を事前に確認しておきましょう。
注意点
残業代やインセンティブの算出方法が不透明な企業が存在すします。給与が下がった理由を明確に説明してもらえない、残業代が正しく支払われない等、会社の制度・体制への不満が転職に繋がります。
セールスドライバーに向いている人

セールスドライバーは、運転技術だけでなく人と接するのが好きな方に向いています。具体的には、以下のような方が向いていると言えるでしょう。
コミュニケーション能力が高く、お客様先での集荷・配送時に会話があるため、人と接する仕事が苦にならない人は成果を上げやすいです。
荷物の積み下ろしが続くので、それなりの体力は必要で、配送ルート変更や急な集荷依頼など、不測の事態が起きても柔軟に対応できる方が向いています。
また、営業や提案に抵抗がなく、単なる“配送”だけでなく、オプションや追加サービスを提案する場面が多々あります。
営業活動が面白いと感じられる人には大きなやりがいとなるでしょう。
セールスドライバーはきつい?

一方で、「セールスドライバーはきつい」という声があるのも事実です。具体的には以下のような点が挙げられます。
長時間労働
配送エリアや荷物量によっては、朝早くから夜遅くまで走り回ることがあります。休憩時間を確保しづらい職場も存在するため、事前に面接や求人情報で労働時間の実態をチェックすることが重要です。
人間関係のトラブル
ドライバー同士や管理者とのコミュニケーションが上手くいかず、パワハラまがいの行為を受けるケースがあります。さらに、家族との予定を調整しにくいほど忙しい職場もあります。
給与への不満
歩合制で配車の偏りが生じると、収入の差が大きくなることも。残業代が正当に支払われない場合、モチベーション低下につながります。
対処法
求人情報や面接で具体的な勤務体系や残業代の計算方法、休日数をしっかりチェックしましょう。また、長時間労働を避けるために、事前にシフトの相談がしやすい環境かどうかを把握すしましょう。 人間関係のトラブルは放置すると悪化しますので、社内で相談窓口が整備されているか確認するのも大切です。
年代別セールスドライバーの転職ポイント

セールスドライバーは、幅広い年齢層が活躍できる職種ですが、年代ごとに重視するポイントがやや異なります。
20代セールスドライバーの転職
休日数や福利厚生を重視する傾向が強く、成長意欲が高く、「どれだけ経験を積めるか」を重視する人が多いです。
30代セールスドライバーの転職
給与と労働時間のバランスを意識し始め、会社の安定性や知名度にも注目し、将来設計を考える傾向が強いです。
40代・50代セールスドライバーの転職
賞与や手当、昇給の有無が最優先です。家族を養う必要がある人も多く、定着率や職場環境の安定性を重視しましょう。
60代セールスドライバーの転職
身体的負担が少ない働き方を希望します。シニア層でも正社員採用の可能性がある企業を探すことが多いです。
→30代、40代、50代の未経験者必見!ドライバーへの転職で収入を安定させる方法
セールスドライバー採用企業の事例紹介
セールスドライバーの働き方をイメージしやすくするために、実際に募集している企業の事例をいくつかご紹介します。
ヤマト運輸株式会社
全国的にセールスドライバーを募集し、独自の研修制度やシフト管理のシステムが整っており、未経験からでも育てる環境があります。
実際に営業所ごとに新人指導員が配置されており、独り立ちまでマンツーマンでサポートするケースが多いです。
佐川急便株式会社
大手ならではの充実した福利厚生が特徴です。法人取引が多いため、企業向けの営業活動でインセンティブを狙いやすく、体力面に配慮した分業体制を導入している営業所もあり、長期勤務しやすい仕組みがあります。
Amazon配送パートナー(DSP)
Amazonと契約する地域の配送パートナー企業でセールスドライバーとして働く形です。最近は業務委託の形態も増え、自由度が高い一方、収入や稼働時間が自分次第になりやすいです。
営業要素は少ないものの、EC需要拡大で仕事量が安定しています。
上記のように、企業ごとに制度や働き方のスタイルが異なるため、自分の希望やライフスタイルに合った企業を探すことが大切です。
→ドライバーの職種別年収ランキングをご紹介!500万円~1000万円を目指せる
セールスドライバーのおすすめ求人の探し方

多くの求人情報がヒットしますが、失敗しないためには以下の点に注意しましょう。
公式サイトや口コミを確認
企業の公式採用ページで詳細な給与形態や福利厚生、研修制度をチェックし、さらに、口コミサイトやSNSで実際の社員・元社員の評価を調べると、リアルな働き方が見えてきます。
ハローワークなどの公的機関を活用
ハローワーク公式サイト(厚生労働省) では、全国の求人を検索できます。公的機関の情報は比較的信頼性が高いですが、掲載情報が最新でない可能性もあるため、面接時にしっかり確認をしましょう。
転職エージェントの利用
日本ドライバー人材センター(https://nihon-driver.jp/)のようなドライバー専門の転職エージェントも存在し、業界特化の知見が豊富です。自分の希望条件を伝えておくと、非公開求人を紹介してもらえるケースもあります。
企業合同説明会やセミナー
実際の担当者やドライバーと直接話せるため、職場のリアルな雰囲気をつかみやすいメリットがあります。
FAQ

ここでは、セールスドライバーに関するよくある質問と回答をまとめました。
Q1: 未経験でも大丈夫?
A1: 未経験歓迎とする企業は多く存在します。運転免許さえあれば、研修をしっかり行ってくれる企業がほとんどです。ただし、体力や営業活動に対する意欲は求められるため、面接時にアピールすると効果的です。
Q2: 女性でも活躍できる?
A2: 近年は女性ドライバーの需要が高まっています。力仕事のイメージが強いですが、軽貨物や小型車両を扱うケースが増えており、企業によっては女性向けの制服や休憩室など、働きやすい環境づくりが進んでいます。
Q3: 転職後すぐに高収入は期待できる?
A3: 個人差はありますが、最初のうちは研修期間で給与がやや低めに設定される場合もあります。また、営業成績や歩合が大きな収入源の場合は、慣れるまで時間がかかることを踏まえて計画を立てましょう。
Q4: 人間関係が不安…
A4: 運送業界では、個人の裁量が大きい一方で、同僚や管理者からのサポートが薄く感じるケースもあります。面接時の質問や職場見学で、教育体制やコミュニケーションの仕組みをよく確認することが大切です。
Q5: シニアでも正社員になれる?
A5: 企業によりますが、定年後の再雇用制度やシニア歓迎求人を設けている企業も多数あります。60代でも採用実績を持つ企業は少なくありませんので、年齢であきらめずに探してみましょう。
まとめ

セールスドライバーは、運転業務に営業要素が加わる分、やりがいも大きい職種です。
コミュニケーション力と体力が求められる一方で、インセンティブや昇給、固定給などの待遇面が充実した企業も多く、未経験からでも安定した収入を得られる可能性があります。
しかし、長時間労働や給与体系の不透明さ、人間関係のトラブルなど、現場ならではの課題も依然として残っています。
需要が拡大する配送業界において、セールスドライバーは安定と収入アップの両立を目指せる職種です。
自分の価値観やライフスタイルに合った企業を見つけ、ぜひチャレンジしてみてください。